vocanote10選(ao_39L ver.)

※本記事は2020年11月にnoteから移設したものです。投稿日時は元記事の投稿日時に合わせてあります。

#vocanote の登録数が500件を突破した際に、「め」さんは「vocanote10選」という記事を作りました。

 そしてぐりーんさんがそれに続いてvocanote10選を発表しました(ここには私の記事も入れていただきました)。

 それから1年以上が経過したにも関わらず、他にvocanote10選を書くひとは現れませんでした(もし私の観測範囲外で誰か書いていたらごめんなさい)。

 「め」さんが最初に書いて、「め」さんの記事を契機にvocanoteを始めたぐりーんさんがその次に書いたのです。今更とはいえ、ぐりーんさんの記事を契機にvocanoteを始めた私が書かないわけにはいかないでしょう。

 というわけで、今回vocanote10選を作成しました。ルールは「め」さんのものを踏襲しています。

ルール
・対象はnote上に上がった #vocanote を含む記事とします
・自分の記事は当然含めません。

 紹介順も「め」さんと同様に発表日順とします。

 

感想:Fake Lover

 というわけで、1つ目に挙げるのは、ここまで散々名前を書いてきた「め」さんのvocanoteです。

 曲の場面ごとの好きなポイントを、丁寧に説明していくというスタイルで記事を書くことは、真似しようと思ってもそう簡単にはできるものではありません。それをやるにはかなりの聴き込みと、そして何よりも曲に対する愛を要求されます(私はやろうとしても中途半端になってしまいます)。ですから、この文章からは、曲そのものの魅力も、「め」さんのFake Loverに対する思いも存分に伝わってくると思います。

 そして、あれだけの中身の長文を、伝わりやすくまとめられるのは羨ましくも思います。vocanoteを書く上でも、とても参考になる記事です。

 

#​17.ミッドナイトクライシス【曲紹介・感想】

(タイトルがタグ化するのを防ぐためにナンバリングの所に空白文字を入れています)

 ぐりーんさんのvocanoteです。

 この記事を10選に選んだ理由を挙げると、どうしても自分語りになってしまうので少しだけ語らせてください。

 私が今こうしてこの記事を書いているのは、ぐりーん先輩のおかげです(誤解のないように言っておくと、私はぐりーんさんに対する憧れと感謝の念を込めて『先輩』と呼んでいるのであって、私が北海道大学ボーカロイド同好会に所属しているわけではありません)。

 ぐりーん先輩をいつ頃からTwitterでフォローしていたのかはわかりませんが、ある日この記事がたまたまTLに流れてきました。私はミッドナイトクライシスが好きだったのでそれをクリックせざるを得ませんでした。記事内で語られるこの曲の魅力に、共感したり、言われて新たに気づいたりと、いつの間にか記事に引き込まれていました。そしてこの記事の最後の項目は…

みんなもvocanoteを書いて!

 その状況でこんなことを言われてしまっては書くしかありません。というわけで、私はvocanoteを書き、やがて様々なリスナーと繋がっていくことができました。

 このような経緯で、私が最も深い思い入れを持っているこのvocanoteを10選に加えさせていただきました。

 

ボカロが調教する話

 ボカロ曲をPごとに履修するという独特のリスニング方法や、ゲーム実況者のファンも兼ねていることなどにより、リスナー界隈でも変わった存在感を放つkakimoriさんのvocanoteです。

 初音ミクとは異なる形で作られてきた「鏡音」の文脈や特有の現象などを、わかりやすく解説しています。鏡音ファンの間に流れる特有の空気を理解する上では大変参考になる文章です。

 特定のPについてのクラスタ的なリスナーと、雑食のリスナー、更にゲーム実況者など他の界隈との繋がりを持ち、それらを比較してみれるkakimoriさんだからこそ書ける記事だと思います。

 

またねがあれば【曲紹介・感想】

 みかんさんのvocanoteです。

 「好き」をストレートに伝える、という点において、みかんさんを超えるvocanote書きはなかなかいません。色々と理屈を捏ねて曲の魅力を伝えるのももちろん魅力的ではあるのですが、「好き」を共有するというvocanoteの精神からすると、 みかんさんのド直球の「好き」は、これはこれでとても素敵なものです。

 ちなみに、この記事を読むまで私はこの曲を聴いたことがありませんでした。vocanoteを読んで、聴いて、今ではボカロ100選に入れるぐらいには好きです。みかんさんには良い曲と出会わせてくれて感謝の気持ちでいっぱいです。

 

はやくボカロリスナーになりたい!

 ゆうさんのvocanoteです。

 先日、「ボカロリスナーが怖がられている」といった趣旨のツイートを見かけました。私の記事を読んでくれている方はほとんど「ボカロリスナー」を名乗っている人達だとは思いますが、もしまだボカロリスナーが怖いことで名乗ることを躊躇していたり、活動を抑えている方がいらっしゃるなら、是非ともこの記事を読んでほしいです。

 ゆうさんはゆるい文体で的確に自分の気持ちを伝えてくるタイプの記事を書く方で、記事を読んでいるうちにゆうさんの持つ独特の雰囲気とか、世界観とか、そういったものに包み込まれていく感覚を味わえます。

 

VOCALOIDと人間、何がこんなに違うの?

 葩さんのvocanoteです。

 VOCALOIDと人間の、シンガーとしての性能の違いに着目し、それぞれの得意な表現方法によって曲の解釈も変わるし、そもそもそれぞれにしかできない表現方法がある、といった主張がなされています。

 VOCALOIDはしばしば人間の下位互換かのように言われることがあります。この記事は、必ずしも、VOCALOIDは人間の下位互換ではないことを再確認して、VOCALOIDでしか引き出せないような、楽器としてのVOCALOIDの新たな魅力を発見させてくれます。

 

コンビニよって帰った日

 書き手としても活躍する藍さんのvocanoteです。

 記事の中では、初めて聴いたはずのボカロ曲が、実はかつて聴いたことがあるものだった、という運命的ともいえる再会が述べられています。

 藍さんの書く文章は、書き手としての本領が発揮されていることを感じさせます。文章の一つひとつがふわふわ、キラキラとしていて、どこか切なくて、陳腐な表現を使ってしまえば「エモい」です。私は藍さんに関して「存在してなさそう」と表現することがあるのですが、これはこうした文章の美しさが非現実的にさえ思えてしまうことに由来しています。

 

ボカロ曲「ロキ」食べてみた

 綿麻さんのvocanoteです。

 体調と食欲とを犠牲に、ロキを味わおうと努力し続けた様子を、アルファブロガーのようなノリの勢いのある文体で書いたレポート記事です。

 音楽を食べる、という狂った発想を面白おかしく伝える様子は、vocanote界隈に新たな風を呼び込みました。純粋なエンターテインメントとしても面白いので、ボカロに特に興味が無いひとにとっても楽しめる記事となっています(というよりも、そういった層に読まれることも意識して文章が書かれています)。布教という観点から見ても、とても効果的なアプローチだと思います。

 

私は傘村トータさんの歌詞が苦手だ

 ヒカリゴケさんのvocanoteです。

 徹底した“誠実”さで「苦手」を表明した記事です。苦手なものにここまで真摯に向き合って、それでもなお苦手であるということを表現する、というのは多くの労力と勇気を必要とするものです。それを成し遂げたことは賞賛に値します。

 ここからは私見になりますが、vocanoteの精神性は「好き」を共有することだと先程述べました。しかしそれは「苦手」であるといったネガティブな感情を排除することとイコールではないでしょう。自分の“正直”な気持ちと向き合い、そしてそれを表明する、という作業をvocanoteという場でやったことは、vocanote界隈にとっても良いことだったのではないでしょうか。

 

マイリスコンピミーティング! #​夏をすずしく過ごせる曲10選

(タイトルがタグ化するのを防ぐためにコンピテーマの所に空白文字を入れています)

 ボカロ系クラブイベントを運営するASTELOIDsさんによるvocanoteです。

 毎月のテーマに合わせて好きな曲を選んで発表する企画「マイリスコンピ」に、それぞれのコンピを持ち込んで発表する様子を対談形式で公開することで参加した記事です。

 クラブ系イベント関係者特有の視点と、マイリスコンピを対談形式で公開するという新たな参加方法は、マイリスコンピの可能性を広げました。

 コンピそのものも良質で聴きごたえのあるものとなっています。

 

おわりに

 先例に従って私も後書きを書こうと思います。

 vocanoteという方法、あるいは場は、私がちゃんとvocanoteを書くようになった1年半前からでもかなり変化しています。この「場」に参加するひとも増えたし、以前に比べて参加する上での心理的なハードルも下がっていると思います。

 もし、あなたが「好きな曲を布教したい!」とか、「自分の好きな曲に対する思いを深めたい!」とか、ボカロについて何らかの伝えたい気持ちを持っているのであれば、是非ともvocanoteを書いてほしいです。

 難しく考える必要はありません。私が紹介した記事の中には奇抜なアイデアやとてつもない労力がかかっているものもありますが、そうでなくても素敵な記事は沢山ありますし、そもそもvocanoteの本質は見栄えの良い記事をかけることではなく、思いを「共有」することです。

 もちろん、vocanoteを書くことがステータスだとか、リスナーとして書く「べき」だとか、そういったことを言うつもりは全くありません。あなたがvocanoteを書かないという選択をするならそれはそれで構いません。

 ただ、vocanoteを書くことで、新たなリスナーとの出会いがあったり、好きな曲を布教できたり、その曲をもっと好きになれたりと、様々なメリットを受けることができます。vocanoteはボカロリスナーとして活動を楽しむ上で良い手段になる、ということを伝えたいです。

 もし万が一私の記事に影響されてvocanoteを始めてくれるひとがいたら、これほど嬉しいことはありません。その時は教えてください。

 そして、vocanote創始者のあんでっどさん、これまでvocanoteを書いてきた皆さん、私が界隈に参入するきっかけになったぐりーん先輩、私の記事を読んでくれた皆さんには感謝してもしきれません。ありがとうございます。vocanoteという1つの「場」が、色々なひとの思いを繋げていく様子をこれまで私は何度も見てきましたし、私自身もそういう経験をしました。それは皆さんのおかげです。

 「め」さんとぐりーんさんの記事から1年以上が経過しましたが、まだまだ「vocanoteで10選をする」行為は、“酔狂だ”と捉えられてしまうものかもしれません。しかし、私はvocanoteという「場」、あるいは「手段」の力を信じています。いつの日か、こういった行為も当たり前のものになるなら、それはとても嬉しいことだし、VOCALOIDというコンテンツにも少しだけ力を与えてくれるものだと思います。

 今後のvocanoteが、より多くのひとにとって、ボカロを楽しむのに役立つものになることを願っています。